「企画の概要を説明する」「記事を要約する」。どちらも内容を簡潔に伝えるときに使う言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
使い分けのポイントは、全体のあらましを示すのか、文章や話の要点を短くまとめるのかです。
この記事では、「概要」と「要約」の意味や使い分けを、身近な例文と図解で整理します。資料や報告書での使い方や、似た言葉「要旨」との違いも紹介します。
「概要」と「要約」の違いを一言でいうと

二つの違いは、次のように整理できます。
- 概要(がいよう):物事の全体のあらまし。だいたいの内容。
- 要約(ようやく):文章や話などの要点を短くまとめること。また、そのまとめたもの。
たとえば、新しいイベントについて、目的・対象者・開催内容などを簡潔に紹介するなら「イベントの概要」です。一方、そのイベントについて書かれた長い説明文を読み、大事な内容を短い文章にまとめるなら「説明文の要約」といえます。
「概要」は何について、どのようなものなのかがわかる全体像に、「要約」はもとの文章や話から要点をまとめることに重きを置く、と考えると使い分けやすくなります。
ただし、二つは意味が重なります。説明文を要約した結果、イベントの概要が伝わる文章になることもあります。
「概要」とは?

「概要(がいよう)」は、物事の全体のあらましや、だいたいの内容を表す言葉です。細かな情報をすべて説明するのではなく、まず全体像をつかんでもらうときに使います。
たとえば、企画の概要なら、何のために行うのか、誰を対象にするのか、どのようなことを行うのかなどを整理します。会社概要なら、会社名・所在地・事業内容などの基本情報を示す形もあります。
このように、概要は必ずしも長い文章を縮めて作るものではありません。複数の情報を整理して、全体像が伝わるようにまとめる場合にも使えます。
「概要」を使う場面
- 会議の冒頭で、新しい企画の概要を説明する。
- 会社概要を見て、主な事業内容を確認する。
- 参加者にイベントの概要を案内する。
- 調査の概要を資料の最初に載せる。
概要に何を載せるかは、対象や目的によって変わります。企画なら目的や実施内容、調査なら対象や方法など、読み手が全体を理解するための情報を選ぶとよいでしょう。
「要約」とは?

「要約(ようやく)」は、文章や話などの要点を短くまとめることを表します。また、まとめた文章そのものを指して「記事の要約」「講演の要約」ともいいます。
たとえば、長い報告書から、調査でわかったことや結論などを取り出し、短い文章にまとめる作業が要約です。「この文章を200字で要約してください」のように、長さを指定して使うこともあります。
「要約」を使う場面
- 新聞記事を200字で要約する。
- 講演の内容を要約し、同僚に共有する。
- 長い報告書の要約を作成する。
- 会議で出た意見を要約して伝える。
要約するときは、単に文字数を減らすだけでなく、何が重要なのかを見極めることが大切です。具体例や繰り返しを整理しながら、もとの主張や結論が伝わるようにまとめます。
たとえば、もとの文章が「試験導入では一定の効果があったが、本格導入には追加検証が必要」と述べているのに、「効果があったので本格導入する」とまとめると、意味が変わってしまいます。短くしても、もとの内容の趣旨を保つことを意識しましょう。
例文で比較する「概要」と「要約」
| 例文 | 使い分けのポイント |
|---|---|
| 新しいサービスの概要を説明する。 | どのようなサービスなのか、全体のあらましを伝えています。 |
| 応募前に、募集概要を確認した。 | 募集の対象や条件など、基本的な内容を確認しています。 |
| 報告書の冒頭に調査概要を載せる。 | 調査の対象や方法など、調査全体を理解するための情報を示しています。 |
| この記事を100字程度で要約する。 | もとの記事の要点を短い文章にまとめます。 |
| 発表内容を要約して、欠席者に伝えた。 | 発表で述べられた大事な内容を簡潔に伝えています。 |
| 報告書の要約を読み、主な結果を把握する。 | もとの報告書を短くまとめたものを読んでいます。 |
迷いやすい使い分けのポイント
「概要」と「要約」は言い換えられる?
文章や話の内容を簡潔に示す場面では、言い換えられることがあります。たとえば、「報告書の概要を伝える」と「報告書を要約して伝える」は、結果として似た内容を伝える場合があります。
ただし、注目する点は異なります。前者は報告書のあらましを示すこと、後者はもとの報告書から要点を短くまとめることに重きを置いた表現です。
また、「要約する」は一般的な使い方ですが、「概要する」は通常使いません。「概要を説明する」「概要をまとめる」のように表現します。
資料の見出しには、どちらを使えばよい?
企画や事業の全体像を紹介するなら「企画概要」「事業概要」が使いやすいでしょう。長い本文の重要な内容を短くまとめた部分なら「要約」とできます。
たとえば、調査報告書の「調査概要」には対象・期間・方法などを示し、「要約」には主な調査結果や結論をまとめる、といった分け方ができます。
これは資料を作るときの一例です。名称の使い方は組織や書式によって異なるため、指定がある場合はそれに合わせましょう。
同じ題材で比べるとどうなる?
たとえば、次のような社内研修を考えてみます。
「新入社員を対象に、6月にオンラインで情報セキュリティ研修を実施する。研修では、不審なメールへの対応とパスワードの管理方法を学ぶ。最後に確認テストを行う。」
概要として整理する例:
対象:新入社員/時期:6月/形式:オンライン/内容:情報セキュリティの基礎と確認テスト。
要約する例:
6月に新入社員向けのオンライン研修を行い、不審なメールへの対応やパスワード管理を学んだ後、確認テストを実施する。
前者は研修の全体像がわかるように項目を整理し、後者はもとの説明文の要点を短くまとめています。ただし、「概要は箇条書き、要約は文章」と決まっているわけではありません。どちらも文章や箇条書きで表せます。
似た言葉「要旨」との違い

「要旨(ようし)」は、文章や話の重要な部分や、中心となる内容を表す言葉です。また、それをまとめたものも指します。「講演の要旨」「論文の要旨」のように使います。
概要:全体のあらまし
「企画の概要」のように、何についてのものか、どのような内容かという全体像に注目します。
要約:要点を短くまとめること・まとめたもの
「文章を要約する」のように、もとの内容から要点をまとめる行為や、その結果を表します。
要旨:文章や話の中心となる内容
「筆者の主張の要旨をつかむ」のように、何を述べようとしているのかという主要な内容に注目します。
三つは意味が重なり、特に「要約」と「要旨」は、どちらも重要な内容をまとめた文章を指すことがあります。ここでの違いは、使い分けを考えるための目安です。
まとめ
- 概要は、物事の全体のあらましや、だいたいの内容。
- 要約は、文章や話などの要点を短くまとめること。また、そのまとめたもの。
- 要旨は、文章や話の重要な部分や、中心となる内容。また、それをまとめたもの。
迷ったときは、「全体像を示したい」のか、「もとの内容を短くまとめたい」のかを考えてみましょう。二つは意味が重なるため、長さや形式だけで機械的に分けず、伝える目的に合わせて選ぶことが大切です。
参考文献・出典
本記事は、以下の辞書・事典で意味や用例を確認し、使い分けを独自に整理しています。本文の例文と図解案は、本記事のために作成したものです。
- 漢字ペディア「概要」
確認した内容:読み方、全体のあらまし・だいたいの内容という意味と用例。 - 漢字ペディア「要約」
確認した内容:読み方、文章などの要点を短くまとめることと、まとめたものを指す意味。 - 漢字ペディア「要旨」
確認した内容:読み方、文章や談話の重要な部分と、それをまとめたものを指す意味。 - コトバンク「概要」
確認した内容:あらまし・おおよそ・概略などの意味。 - コトバンク「要約」
確認した内容:文章などの大意をまとめることと、まとめたものを指す意味。 - コトバンク「要旨」
確認した内容:述べられていることの主要な点と、内容のあらましを指す意味。
閲覧日:2026年10月18日

