「過去の資料を参考にする」「過去の資料を参照する」。どちらも資料を見る場面で使いますが、伝わる内容にはどのような違いがあるのでしょうか。
使い分けのポイントは、考えを決める手がかりにするのか、内容を照らし合わせるのかです。
この記事では、「参考」と「参照」の意味や使い分けを、身近な例文と図解で整理します。「ご参考にしてください」と「ご参照ください」の違いや、似た言葉「引用」との違いも紹介します。
「参考」と「参照」の違いを一言でいうと

二つの違いは、次のように整理できます。
- 参考(さんこう):他の情報や意見を、考えを決める手がかりにすること。
- 参照(さんしょう):資料などと照らし合わせて、内容を確かめたり参考にしたりすること。
たとえば、昨年の企画書を読んで今年の企画のヒントにするなら「参考にする」、説明文を読みながら別紙の図を見て内容を確かめるなら「参照する」が使いやすい表現です。
ただし、二つは意味が重なる言葉です。辞書では「参照」にも、照らし合わせて参考にするという意味があります。「参考は考えるだけ」「参照は見るだけ」と、完全に分かれるわけではありません。
この記事では、辞書の意味を踏まえ、何に着目して伝えるかという観点から使い分けを整理します。
参考:漢字ペディア「参考」、漢字ペディア「参照」、コトバンク「参照」
「参考」とは?

「参考(さんこう)」は、他の事例・資料・意見などを、自分の考えをまとめたり判断したりするための手がかりにすることです。また、そのための材料自体を指すこともあります。
資料を読むことだけでなく、人の話を聞いて判断に役立てる場面にも使えます。「先輩の意見を参考にする」なら、その意見を踏まえて自分で考えるという意味になります。
「参考」を使う場面
- 利用者の意見を参考にして、サービスを改善する。
- 昨年の実績を参考に、今年の目標を決めた。
- 旅行先を選ぶために、友人の話を参考にする。
- 検討の参考になる資料を添付します。
「昨年の実績を参考に、今年の目標を決めた」なら、実績を判断材料として使ったことを表します。昨年と同じ目標にしたという意味ではありません。
参考にすることと、そのまま採用することは別です。情報を役立てたうえで、違う結論を出すこともあります。
「参照」とは?

「参照(さんしょう)」は、他のものと照らし合わせて見ることや、照らし合わせて参考にすることを表す言葉です。
説明文と図表を見比べたり、手元の内容を資料で確かめたりする場面で使われます。「詳細は別紙を参照」のように、確認先を案内する表現にも向いています。
「参照」を使う場面
- 詳しい操作方法は、説明書を参照してください。
- 本文の説明と合わせて、図1を参照する。
- 過去の記録を参照して、経緯を確認した。
- 料金の内訳は、添付資料の2ページをご参照ください。
「添付資料の2ページをご参照ください」なら、確認してほしい場所を具体的に示しています。単に「資料を見てください」と伝えるより、今の話と関連づけて確認してほしいことが伝わりやすくなります。
なお、「参照」は、必ず二つの資料を横に並べることだけを指すわけではありません。説明を理解するために、指定された図やページを開いて確かめる場面にも使えます。
「参考」と「参照」の使い分けを例文で比較
過去の資料を使う場合
例文:昨年の報告書を参考にして、今年の改善案を考えた。
昨年の報告書を、改善案を考えるための材料として使っています。
例文:昨年の報告書を参照して、当時の対応を確認した。
報告書に立ち返り、過去の対応がどうだったか確かめています。同じ資料でも、考える材料として使うのか、記録と照らし合わせるのかで表現を選べます。
相手に資料を送る場合
例文:企画を検討する際の参考にしてください。
相手が考えるときに役立ててほしい、という意図を表します。
例文:仕様の詳細は、添付資料をご参照ください。
説明を補う情報の確認先を案内しています。ページ番号や項目名も添えると、相手が必要な情報を探しやすくなります。
人の意見を使う場合
例文:先輩の意見を参考に、提案内容を見直した。
人から聞いた意見を判断に役立てるなら、「参考」が自然です。
例文:議事録に記載された先輩の意見を参照して、議論の流れを確認した。
意見が記録された箇所に立ち返って確認するなら、「参照」も使えます。対象だけで決めず、どのように情報を使うのかを考えることがポイントです。
迷いやすいポイント
「参考にする」と「参照する」は、どちらも使える?
どちらも使える場面があります。たとえば、過去の事例を読んで新しい対応を考える場合は、事例と照らし合わせる面と、判断の手がかりにする面の両方があるためです。
判断材料として役立てることを伝えたいなら「参考にする」、資料や事例を見て確かめることを伝えたいなら「参照する」と考えると、使い分けやすくなります。
「ご参考ください」と「ご参照ください」は同じように使える?
ビジネスメールで無理なく使い分けるなら、次の形がわかりやすいでしょう。
- 判断材料として役立ててほしいとき:「ご参考にしてください」「ご参考になれば幸いです」
- 資料などを確認してほしいとき:「ご参照ください」
「ご参考ください」は避け、「ご参考にしてください」のように「にする」を使う形に整えると自然です。
ただし、「参考する」そのものを誤りと断定するのは適切ではありません。コトバンク掲載のデジタル大辞泉には、「参考」を「する」とともに使う用法も載っています。日常のメールでは、上記のような書き方を選ぶと伝わりやすいでしょう。
参考:コトバンク「参考」
「ご参考までに」なら、確認しなくてもよい?
「ご参考までに」は、相手の判断に役立つ補足情報として示す言い方です。ただし、その一言だけで、確認が必須かどうかまで明確になるとは限りません。
必ず確認してほしい内容なら、「添付資料の2ページをご確認ください」のように、してほしいことを具体的に書きましょう。言葉の違いと合わせて、依頼内容も明確にすることが大切です。
似た言葉「引用」との違い

「参考」「参照」と混同しやすい言葉に、「引用(いんよう)」があります。
参考:考えを決める手がかりにすること
例文:専門書を参考にして、自分なりの説明を考えた。
専門書の内容を、考えをまとめるために役立てています。
参照:他のものと照らし合わせて見ること
例文:専門書の図を参照して、仕組みを確認した。
図を見て、説明されている内容を確かめています。
引用:他人の文章や言葉などを引いて使うこと
例文:専門書の一節を、出典を示してレポートに引用した。
「引用」は、他人の文章や言葉などを、自分の文章や話の中に引いて用いることです。読んで理解することや、考えるヒントにすることとは、行為の中心が異なります。
同じ本について、内容を参考にし、図を参照し、一節を引用することもあります。三つは、互いに排他的な行為ではありません。
参考:漢字ペディア「引用」
まとめ
- 参考は、情報や意見を考えの手がかりにすること。
- 参照は、資料などと照らし合わせて確かめたり、参考にしたりすること。
- 引用は、他人の文章や言葉などを自分の文章や話に引いて使うこと。
「参考」と「参照」は、同じ場面で使えることもあります。迷ったときは、考えるために役立てることを伝えたいのか、資料などを確認することを伝えたいのかを考えると、言葉を選びやすくなります。
参考文献・出典
本記事は、以下の辞書で意味や用法を確認し、使い分けを独自に整理しています。本文の例文と図解案は、本記事のために作成したものです。
- 漢字ペディア「参考」
確認した内容:読み方、他の物事や考えを比較し、考えをまとめる手がかりにすること、またその材料という意味。 - コトバンク「参考」
確認した内容:意見・事例・資料などを判断の手がかりにする意味、および「する」とともに使う用法。 - 漢字ペディア「参照」
確認した内容:読み方、他のものと対照・照合して見るという意味。 - コトバンク「参照」
確認した内容:照らし合わせて参考にする意味と、関連する項目への案内としての用法。 - 漢字ペディア「引用」
確認した内容:読み方、他人の文章や言葉を、自分の文書や話に引いて用いるという意味。
閲覧日:2026年10月19日

