「返事を待つ」「返答を待つ」。どちらも相手からの答えを待つときに使いますが、どう使い分ければよいのでしょうか。
使い分けの目安は、呼びかけや連絡などに広く応じるなら「返事」、質問や要求などへの答えを改まって伝えるなら「返答」です。
ただし、二つの意味には重なりがあり、同じ場面でどちらも使えることがあります。この記事では、それぞれの意味や例文、仕事で迷いやすい表現、似た言葉「返信」との違いを整理します。
「返事」と「返答」の違いを一言でいうと

- 返事(へんじ):呼びかけや問いかけ、手紙、誘いなどに応じること。また、その言葉や書面。
- 返答(へんとう):問いかけなどに答えること。また、その答え。特に質問や要求に答える場面で使われ、改まった響きがある。
たとえば、名前を呼ばれて「はい」と応じるときは、ふつう「返事をする」といいます。一方、取引先から納期を尋ねられ、「来週の金曜日に納品できます」と答えるときは、「返答する」が使いやすい場面です。
ただし、納期の質問に答えることを「返事をする」といっても間違いではありません。また、漢字ペディアでは「返答」に呼びかけに答える意味も示されています。意味を厳密に切り分けるより、よく使われる場面と表現の響きに注目するとわかりやすくなります。
「返事」とは?

「返事」は、相手の呼びかけや問いかけに応じることを表す言葉です。口頭で返す言葉だけでなく、手紙などで伝える答えにも使います。
短い「はい」という一言から、招待を受けるかどうかを知らせる連絡まで、幅広く表せるのが特徴です。
「返事」を使う場面
- 名前を呼ばれて、元気よく返事をした。
- 友人からの誘いに、参加すると返事をした。
- 届いた手紙への返事を書いた。
- 先輩にお願いした件の返事を待っている。
「呼んでも返事がない」なら、呼びかけに応じる声がないことを表します。「招待への返事が届いた」なら、参加するかどうかなどを知らせる連絡が来たことを表します。
このように、「返事」は日常会話で使いやすい言葉ですが、仕事でも使えます。「日常でしか使わない言葉」と覚える必要はありません。
「返答」とは?

「返答」は、相手からの問いなどに答えることや、その答えを表します。
質問や要求を受けて、事情を説明したり、自分や組織の考えを伝えたりする場面で使われます。「返事」よりも改まった響きがあり、仕事のやり取りにもなじみます。
「返答」を使う場面
- 取引先からの質問に、担当者が返答した。
- 契約条件の変更について、先方に返答を求めた。
- 会議で意見を求められたが、すぐには返答できなかった。
- 確認が必要なため、後日返答することにした。
たとえば、「この条件で引き受けられますか」と尋ねられ、引き受けるかどうかを伝えるのは「返答」といえます。その場で口頭で伝えても、後からメールで伝えても使えます。
なお、「返答」は長い説明に限りません。「可能です」「今回は見送ります」といった短い答えでも、問いに答えていれば使えます。
「返事」と「返答」の使い分けを例文で比較
二つの言葉が使われる場面を、例文で比べてみましょう。以下は使い方の傾向を示すもので、必ずどちらか一方だけを使うというルールではありません。
| 「返事」を使った例文 | 「返答」を使った例文 |
|---|---|
| 先生に名前を呼ばれ、返事をした。 | 先生からの質問に、考えをまとめて返答した。 |
| 友人からの食事の誘いに返事をした。 | 取引先からの日程の問い合わせに返答した。 |
| お願いした件について、上司の返事を待っている。 | 条件を変更できるか、先方の返答を待っている。 |
| 友人から届いた手紙の返事を書いた。 | 質問された内容について、手紙で返答した。 |
「返事を待つ」と「返答を待つ」の違い
たとえば、送った提案について相手の考えを待っているなら、どちらも使えます。
「提案への返事を待っています」は、相手からの答えを待つことを広く表します。「提案への返答を待っています」は、提案についての答えを待つことを、より改まった言い方で表します。
相手の立場だけで自動的に決まるのではなく、何に対する答えか、どのような文体で伝えたいかを考えると選びやすくなります。
迷いやすいポイント
「返事」は失礼で、「返答」は丁寧?
「返事」という言葉そのものが失礼なわけではありません。また、「返答」も、それだけで敬語になる言葉ではありません。
たとえば、「早く返答しろ」では、改まった言葉を使っていても丁寧な依頼にはなりません。相手に配慮したいときは、言葉の選択に加えて、文全体の伝え方を整えましょう。
- 柔らかく返事をお願いする:「お手すきの際に、お返事をいただけますと幸いです。」
- 質問への答えをお願いする:「恐れ入りますが、上記の質問についてご返答いただけますでしょうか。」
「返事」と「返答」の違いは、敬語かどうかではなく、使う範囲や改まり方の違いとして捉えるとよいでしょう。
「返事」は口頭、「返答」は書面で使う?
そのようには分けられません。「手紙の返事を書く」「口頭で返答する」のように、どちらも話し言葉と書き言葉の両方で使えます。
メールで答える場合も、「返事をする」「返答する」のどちらも使えます。伝える手段だけでなく、そのやり取りの内容に目を向けましょう。
「返事」はすぐに、「返答」は考えてからするもの?
答えるまでの時間で決まるわけでもありません。
たとえば、質問の答えがわかっていれば「その場で返答した」といえます。一方、招待を受けるか迷っているなら「数日考えてから返事をした」といえます。
「はい」という短い返事の印象から、速さで区別してしまわないようにしましょう。
似た言葉「返信」との違い

「返事」「返答」と似た言葉に「返信」があります。「返信」は、返事の手紙やメールを送ること、また、その手紙やメールを表す言葉です。
返事:呼びかけや連絡などに広く応じること
例文:食事の誘いに、参加すると返事をした。
相手からの誘いに答えたことを表します。電話でも、メールでも使えます。
返答:問いかけなどに答えること
例文:参加できるか尋ねられ、出席すると返答した。
相手から尋ねられたことに答えたことを表します。「返事」より改まった響きがあります。
返信:手紙やメールなどで返事を送ること
例文:案内メールに、出席すると返信した。
受け取ったメールに対し、メールを返したことが伝わります。対面で「はい」と応じることは、通常「返信」とはいいません。
同じ「出席します」というメールでも、誘いへの答えとして見れば「返事」、参加の可否を尋ねる問いへの答えとして見れば「返答」、メールを返すことに注目すれば「返信」と表せます。
まとめ
- 返事は、呼びかけや問いかけ、手紙、誘いなどに広く応じること。
- 返答は、問いかけなどに答えること。特に質問や要求に答える場面で使われ、改まった響きがある。
- 返信は、返事の手紙やメールなどを送ることや、その通信を表す言葉。
「返事」と「返答」は意味が重なり、どちらも使える場面があります。迷ったときは、広く相手に応じることを表すのか、問いへの答えを改まって伝えるのかを目安にすると、使い分けやすくなります。
参考文献・出典
- 漢字ペディア「返事・返辞」
確認した内容:読み方と、呼びかけや問いかけに応じること、その言葉や書面を表す意味。 - 漢字ペディア「返答」
確認した内容:読み方と、問いかけや呼びかけに答えること、およびその答えを表す意味。 - コトバンク「返事」
確認した内容:手紙への答えを含む意味の広がりと、デジタル大辞泉の用法欄に示された「返事」「返答」の使われ方・改まり方の違い。 - コトバンク「返答」
確認した内容:問いに対して答える意味と、手紙を用いて答える用例があること。 - 漢字ペディア「返信」
確認した内容:読み方と、返事として送る手紙・通信を表す意味。 - コトバンク「返信」
確認した内容:返事の手紙や電子メールを送る行為と、その手紙やメールを表す意味。
閲覧日:2026年10月20日
※本文の使い分けの整理は、上記の辞書の意味・用法を踏まえて作成しています。例文・図解案は、本記事のために独自に作成したものです。

