「書類を提出する」「書類を送付する」。どちらも相手に書類を渡すときに使いますが、どう使い分ければよいのでしょうか。
使い分けの目安は、「提出」は確認・審査などを受けるために書類などを差し出すこと、「送付」は相手に送り届けることです。
二つは、手渡しか郵送かで分かれる言葉ではありません。同じ申込書を送る行為でも、申し込みの手続きを進める側面では「提出」、相手に送り届ける側面では「送付」と表現できます。
この記事では、「提出」と「送付」の意味や使い分け、メールで使う場合の例文、似た言葉「提示」との違いをわかりやすく整理します。
「提出」と「送付」の違いを一言でいうと

辞書では、「提出」は問題・意見・書類などを差し出すこと、「送付」は送り届けることとされています。参考:漢字ペディア「提出」/コトバンク「送付」
日常や仕事での使い分けを整理すると、次のようになります。
- 提出:確認・審査・手続きなどのために、書類などを差し出す。
- 送付:書類や品物などを、相手に送り届ける。
たとえば、研修への参加を申し込むなら「申込書を提出する」。申込書を事務局に郵送することを伝えるなら「申込書を送付する」が使えます。
「提出」は何のために出すか、「送付」は送り届ける行為に注目した表現と考えると、選びやすくなります。これは辞書の意味と実際の用例をもとにした使い分けの目安です。
「提出」とは?

「提出(ていしゅつ)」は、書類・資料・意見などを差し出すことです。日常や仕事では、確認、審査、評価、手続きなどを受けるために出す場面でよく使います。参考:漢字ペディア「提出」
たとえば、先生に課題を出すなら「レポートを提出する」、担当窓口に申請の書類を出すなら「申請書を提出する」と表現できます。
「提出」を使う場面
- 授業の課題として、レポートを提出する。
- 研修に申し込むため、申込書を提出する。
- 上司に確認してもらうため、報告書を提出する。
- 経費精算のため、領収書を提出する。
「誰に何を出すか」に加えて、相手に確認や処理をしてもらう目的があるときに使いやすい言葉です。
「提出」は手渡しだけに使う?
「提出」は、手渡しに限りません。メールで送る場合や、オンラインの専用フォームにアップロードする場合にも使えます。
実際に、北海道情報大学のレポート案内では、メールでファイルを出すことにも「提出」を使っています。参考:北海道情報大学「【再掲】2026年度 レポート提出時の注意事項」
「提出してください」だけでは方法まで伝わらないため、「申込書をメールで提出してください」「レポートを指定のフォームから提出してください」のように、方法も添えると親切です。
「送付」とは?

「送付(そうふ)」は、書類や品物などを相手に送り届けることです。相手に何かを送る行為を、やや改まった言い方で伝えるときに使います。参考:コトバンク「送付」
たとえば、取引先に資料を送る場合は「資料を送付する」、相手の住所に商品サンプルを送る場合は「サンプルを送付する」と表現できます。
「送付」を使う場面
- 研修の申込書を、事務局に送付する。
- 取引先に、見積書を送付する。
- 打ち合わせの資料を、参加者に送付する。
- 商品サンプルを、取引先に送付する。
書類だけでなく、品物にも使える言葉です。審査や手続きを目的としない、案内や情報共有のために送る場面にも使えます。
メールで送る資料にも「送付」は使える?
メールに添付して送る資料にも、「送付」を使えます。「送付=郵便で送ること」ではありません。
国立教育政策研究所の研修案内でも、申込書などをメールで送る行為に「送付」が使われています。参考:国立教育政策研究所「令和7年度社会教育主事専門講座実施要項」
仕事のメールなら「資料を添付して送付いたします」で、送る資料と方法を伝えられます。日常のやり取りでは、「資料を送ります」という言い方でも十分です。
「提出」と「送付」の例文を比較
同じ書類でも、何を伝えたいかによって表現が変わります。以下は使い分けの目安であり、一方しか使えないという意味ではありません。
申込書での使い分け
- 提出:研修に申し込むため、申込書を提出する。
- 送付:申込書を、事務局宛てにメールで送付する。
「提出」は申し込みの手続きに、「送付」は相手に送り届ける行為に注目しています。メールで申込書を出す場合、「申込書をメールで提出する」も自然な表現です。
報告書での使い分け
- 提出:上司の確認を受けるため、報告書を提出する。
- 送付:情報共有のため、報告書のコピーを関係者に送付する。
確認を受けるために出す場面と、関係者に情報を届ける場面を、言葉で区別できます。ただし、上司にメールで出す行為を「報告書を送付する」と表現することもできます。
取引先へのメールでの使い分け
- 提出:ご依頼の提案書を提出いたします。ご確認をお願いいたします。
- 送付:打ち合わせ用の資料を添付して送付いたします。
依頼を受けて検討・確認のために出すなら「提出」、資料を送ることを伝えるなら「送付」が使いやすい表現です。
「提出」と「送付」は同じ書類に使える?
同じ書類に、両方の言葉を使える場合があります。二つは、必ず別々の作業を指すわけではありません。
国立教育政策研究所の研修案内でも、申込書について「メールで送付」と案内し、そのデータを出すことには「提出」を使っています。参考:国立教育政策研究所「令和7年度社会教育主事専門講座実施要項」
「申込書を郵送で提出する」のように、提出する目的と、送り届ける方法は両立します。また、「提出=目上の人」「送付=対等な相手」という区別でもありません。相手の立場だけでなく、書類を出す目的に合わせて選びましょう。
「提出」「送付」「提示」の違い

似た言葉に「提示」があります。「提示(ていじ)」は、差し出して見せることです。参考:コトバンク「提示」
提出:確認などのために差し出す
例:研修に申し込むため、申込書を提出する。
相手に確認や手続きなどをしてもらうために、書類などを出す場面で使います。
送付:相手に送り届ける
例:研修の申込書を、事務局に送付する。
書類や品物などを相手に送る行為を表します。郵送でもメールでも使えます。
提示:相手に見せる
例:研修の受付で、参加証を提示する。
相手に内容を確認してもらうために見せる場面で使います。「参加証を提示する」なら、参加証を受付に預けることよりも、見せて確認してもらうことに注目しています。
使い分けに迷ったら、確認・手続きのために出すのか、送り届けるのか、見せるのかを考えると整理しやすくなります。
まとめ
「提出」と「送付」の違いは、書類などを出す目的に注目するか、相手に送り届ける行為に注目するかです。
- 提出:確認・審査・手続きなどのために、書類などを差し出す。
- 送付:書類や品物などを、相手に送り届ける。
- 提示:書類や証明書などを、相手に見せる。
提出は手渡しに限らず、送付も郵送に限りません。同じ書類に両方の言葉を使える場合があるため、何を伝えたいかに合わせて選びましょう。依頼するときは、提出先・方法・期限まで添えると、相手が迷わず対応できます。
参考文献・出典
以下の辞書・公開資料で意味と用例を確認し、日常や仕事での使い分けの目安を本記事で整理しました。本文の例文と図解案は、説明のために独自に作成しています。
- 公益財団法人 日本漢字能力検定協会「漢字ペディア」『提出』
確認した内容:問題・意見・書類などを差し出すという意味。 - 小学館『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』「送付」(コトバンク掲載)
確認した内容:書類や品物などを送り届ける、送り渡すという意味。 - 北海道情報大学 通信教育部「【再掲】2026年度 レポート提出時の注意事項」
確認した内容:メールでレポートのファイルを出す場合にも「提出」が使われている用例。 - 国立教育政策研究所 社会教育実践研究センター「令和7年度社会教育主事専門講座実施要項」
確認した内容:「9 受講者の推薦手続」で、申込書などをメールで送ることに「送付」、書類データを出すことに「提出」が使われている用例。 - 小学館『デジタル大辞泉』「提示」(コトバンク掲載)
確認した内容:差し出して見せるという意味。
閲覧日:2026年10月8日

