「開催日を告知する」「開催日を周知する」。どちらも情報を知らせるときに使いますが、どのような違いがあるのでしょうか。
使い分けのポイントは、情報を告げ知らせることに重点を置くのか、広く知らせて知れ渡らせることに重点を置くのかです。
この記事では、「告知」と「周知」の意味や使い分けを、イベントや仕事での例文とともに整理します。「周知の事実」などの表現や、メールで周知をお願いするときの書き方も紹介します。
「告知」と「周知」の違いを一言でいうと

二つの違いは、次のように整理できます。
- 告知(こくち):ある事柄を告げ知らせること。
- 周知(しゅうち):広く知らせること。また、広く知れ渡っていること。
たとえば、イベントの日程変更を公式サイトに載せる行為は「日程変更を告知する」と表現できます。一方、参加者に広く伝えるという目的に目を向けるなら、「日程変更を参加者に周知する」と表現できます。
同じサイトへの掲載を「告知」とも「周知」とも呼べるため、二つは意味が重なる言葉です。「告知」は知らせる行為、「周知」は情報の広がりに目を向けると、使い分けやすくなります。
以下では、辞書の意味を踏まえ、場面ごとに何を伝えたいかという観点から整理します。
「告知」とは?

告知(こくち)は、ある事柄を相手に告げ知らせることです。開催予定や変更事項などを伝える場面で使います。
「イベントを告知する」「休業日を告知する」「告知文を掲載する」など、情報を外へ出して知らせるときに使いやすい言葉です。
「告知」を使う場面
- 新商品の発売日を、公式サイトで告知した。
- 店舗の改装に伴う休業を、店頭のポスターで告知する。
- 講演会の開催を、SNSで告知した。
- 会場変更の告知文を、参加者に送った。
「公式サイトで告知した」なら、その情報をサイト上で知らせたことが伝わります。ただし、その表現だけでは、知らせたい相手が全員目を通したかまでは分かりません。
また、「告知」は不特定多数に向けたお知らせに限りません。辞書には病名を本人に知らせる用例もあり、特定の相手に伝える場合にも使えます。
「周知」とは?

周知(しゅうち)には、広く知らせるという意味と、すでに広く知れ渡っているという意味があります。
「変更内容を周知する」なら、広く知らせる行為を表します。一方、「周知の事実」なら、多くの人に知られている事実を指します。
「周知」を使う場面
- 新しい申請方法を、全社員に周知する。
- 施設の利用ルールを、利用者に周知した。
- 締め切りの変更について、関係部署への周知を図る。
- その会社が海外にも拠点を持つことは、業界では周知の事実だ。
ここでの「広く」は、世間全体だけを指すわけではありません。「社内に周知する」「関係者に周知する」のように、知らせる必要のある範囲を示して使うこともできます。
公的な使用例として、兵庫労働局の「就業規則」のページでは、労働者への配付や職場への掲示などによる周知が説明されています。社会全体への発信ではなく、職場の関係者に知らせる場面でも使われていることが分かります。
参考:コトバンク「周知」、漢字ペディア「周知」、兵庫労働局「就業規則」
「告知」と「周知」の使い分けを例文で比較
イベントの開催を知らせる場合
例文:来月のイベント開催を、SNSで告知した。
開催情報をSNSに投稿し、知らせたことを表します。どのような手段で情報を発信したかを説明する場面に合います。
例文:SNSやチラシを使って、地域の人にイベント開催を周知した。
地域の人に広く知らせたことに重点があります。SNSでの投稿も、周知するための手段の一つになります。
「告知は一度だけ、周知は何度も」という決まりはありません。告知を繰り返すことも、一度の連絡で広く知らせることもあります。
社内のルール変更を知らせる場合
例文:経費精算ルールの変更を、社内ポータルで告知した。
変更事項を社内ポータルに掲載し、知らせたことを表します。
例文:経費精算ルールの変更を、各部署の社員に周知する。
変更に関係する社員へ、情報を広く行き渡らせることを表します。必要に応じてメールや朝礼などを組み合わせる場面も考えられます。
同じ情報について「まず社内ポータルで告知し、各部署でも周知する」と書けば、掲載に加えて部署内でも伝えるという流れを説明できます。ただし、必ずこの順序になるわけではありません。
仕事のメールで依頼する場合
例文:募集開始日について、公式サイトでの告知をお願いいたします。
サイトへの掲載など、情報を発信する対応を依頼しています。
例文:募集開始日について、部署内の皆様への周知をお願いいたします。
部署内の人へ広く伝える対応を依頼しています。相手本人に内容を確認してほしいだけなら、「添付資料をご確認ください」のように書くほうが意図を伝えやすくなります。
依頼するときは、「何を」「誰に」「いつまでに」知らせてほしいかを添えると、相手も対応しやすくなります。
迷いやすいポイント

「告知」は少人数、「周知」は大人数に使う?
人数だけでは分けられません。「告知」は、本人一人に知らせる場合にも、一般の人に向けて知らせる場合にも使えます。
「周知」は広く知らせる言葉ですが、知らせる範囲は社内や関係部署などの場合もあります。「何人以上なら周知」といった境目もありません。
人数よりも、知らせる行為を述べたいのか、必要な範囲に広く知らせることを述べたいのかで考えましょう。
「告知した」なら「周知できた」と言える?
告知しただけで、情報が十分に知れ渡ったとは限りません。たとえば、ホームページに日程変更を掲載しても、それを見ていない参加者がいる可能性があります。
そのため、実務では「告知済みだが、参加者への周知は十分ではない」と表現することもできます。これは、情報を出したことと、必要な範囲へ情報が行き渡ることを分けて考えた表現です。
一方で、「周知した」という表現だけで、全員が読んだことや、内容を完全に理解したことまで保証されるわけでもありません。確認状況まで伝えたいなら、「対象者全員から確認の返信を受けた」など、実際に確認できた事実を添えましょう。
「周知の事実」と「周知する」はどう違う?
「周知の事実」は、すでに広く知られている事実を表します。「周知する」は、情報を広く知らせる行為を表します。
たとえば「この地域で祭りが毎年開かれることは周知の事実だ」なら、すでに知られているという意味です。「今年の開催日を周知する」なら、その日程を広く知らせるという意味になります。
「周知徹底」はどんなときに使う?
「周知徹底」は、知らせるべき人に情報が十分行き渡るようにする、という趣旨で使う表現です。「新しい手順の周知徹底を図る」など、伝達漏れを防ぎたい場面に合います。
ただし、「周知徹底をお願いします」と書くだけでは、具体的な対応が伝わらないこともあります。「部署内で共有し、未確認の方には個別にお知らせください」のように、必要な行動を添えると分かりやすくなります。
参考:漢字ペディア「周知徹底」
まとめ
- 「告知」は、ある事柄を告げ知らせることです。
- 「周知」は、広く知らせることや、広く知れ渡っていることです。
- 同じお知らせに両方を使える場合もあり、人数や手段だけでは分けられません。
迷ったときは、情報を知らせる行為に目を向けるなら「告知」、必要な範囲へ広く知らせることに目を向けるなら「周知」を目安にすると、使い分けやすくなります。
参考文献・出典
語義は以下の辞書を参照し、公的機関のページで「周知」の使用例を確認しました。例文と場面ごとの使い分けの説明は、語義を踏まえて本記事のために作成したものです。
- コトバンク「告知」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典)
確認した内容:告げ知らせるという一般的な意味。今回はこの用法を比較対象とし、法律分野の個別の用法は扱っていません。 - コトバンク「周知」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典)
確認した内容:広く知れ渡っていることと、広く知らせることの二つの意味。「周知の事実」などの用法。 - 漢字ペディア「告知」
確認した内容:告げ知らせるという意味と、特定の本人に知らせる用例。 - 漢字ペディア「周知」
確認した内容:多くの人に広く知れ渡るという意味。 - 兵庫労働局「就業規則」
確認した内容:配付や掲示などにより、職場の労働者に知らせる場面での「周知」の使用例。二語の違いを定義する資料としては使用していません。 - 漢字ペディア「周知徹底」
確認した内容:すみずみまで広く知れ渡るようにするという意味。
閲覧日:2026年10月22日

