「計画の概要を説明する」「計画の概略を説明する」。どちらも詳しい説明に入る前に使える表現ですが、何が違うのでしょうか。
使い分けの目安は、要点をまとめて全体像を示すことに重点を置くか、細部を省いて大まかな内容を伝えることに重点を置くかです。ただし、二つは意味が重なる言葉で、厳密に区別されるわけではありません。
この記事では、「概要」と「概略」の意味や使い分けを、身近な例文で整理します。資料の見出しや仕事のメールで迷いやすいポイントも紹介します。
「概要」と「概略」の違いを一言でいうと

- 概要(がいよう):物事の全体のあらまし。
- 概略(がいりゃく):物事の大まかな内容や大筋。
たとえば、新しいサービスがどのようなものかを、目的・対象者・内容などの要点で紹介するなら「サービスの概要」と表現できます。詳しい仕様には触れず、おおよその仕組みを伝えるなら「サービスの概略」と表現できます。
ただし、辞書では「概要」の説明に「概略」が、「概略」の説明に「概要」が使われています。この記事で示す違いは、語義を踏まえた使い分けの目安です。同じ説明を、どちらの言葉で表しても自然な場合があります。
参考:漢字ペディア「概要」、コトバンク「概要」、コトバンク「概略」
「概要」とは?

「概要」は、物事の全体のあらましを表す言葉です。細かな情報をすべて並べるのではなく、どのようなものかが分かるように、主要な内容をまとめて示す場面で使えます。
「会社概要」「事業概要」「開催概要」のように、基本情報を紹介する見出しにも使われます。会社なら名称・所在地・事業内容、イベントなら日時・会場・内容など、対象に応じて項目が変わります。
「概要」を使う場面
- 会議の冒頭で、新しい企画の概要を説明した。
- 応募する前に、会社概要を確認した。
- イベントの開催概要をウェブサイトに掲載した。
- 調査の概要を、報告書の最初にまとめた。
たとえば「開催概要を確認してください」なら、参加を検討するための基本情報を確認してほしい、という意図が伝わります。
実際に、JICAの「JICAの概要」でも、組織や事業に関する基本情報として、目的や主な業務内容などが紹介されています。これは、組織の基本的な姿を示す「概要」の使用例です。
「概略」とは?

「概略」は、物事のだいたいのところや、あらましを表す言葉です。詳しい事情や細部を省き、大まかな内容を伝える場面になじみます。
「計画の概略」「事件の概略」「経緯の概略」などの形で使えます。大筋を示す言葉ですが、必ず時系列で説明するという意味ではありません。
「概略」を使う場面
- 打ち合わせの前に、計画の概略を伝えた。
- 担当者から、トラブルの概略を聞いた。
- 詳しい手順を説明する前に、作業の概略を示した。
- 今回の変更点について、概略をまとめた。
「トラブルの概略を聞いた」なら、細かいやり取りをすべて聞いたというより、何が起きたのかを大まかに把握したことが伝わります。
なお、「概略」は「不正確」「未確定」という意味ではありません。決定済みの内容や確認できた事実についても、細部を省いて伝えるなら使えます。
参考:コトバンク「概略」
「概要」と「概略」の使い分けを例文で比較
企画を説明する場合
例文:新しい研修企画の概要を説明します。
目的・対象者・実施時期・内容など、企画全体をつかむための要点を示す場面に合います。
例文:新しい研修企画の概略を説明します。
細かなプログラムや運営方法には立ち入らず、大まかな内容を伝える場面に合います。
同じ説明にどちらを使うこともできます。相手に具体的な情報を求めるときは、言葉の違いだけに頼らず「目的と日程を中心に」などと添えると確実です。
出来事を報告する場合
例文:今回の事故の概要を報告した。
発生日時・場所・被害状況など、事故の全体像をつかむための主要な事実を報告したと受け取れます。
例文:今回の事故の概略を報告した。
詳しい経過や個別の事情を省き、何が起きたかを大まかに報告したと受け取れます。
ただし、この二文も意味が大きく重なります。「概要なら正確、概略なら不正確」という違いではありません。
メールで説明を依頼する場合
例文:企画の概要を、目的・対象・日程が分かる形でお送りいただけますでしょうか。
企画を検討するための基本情報を求める表現です。必要な項目を添えることで、欲しい情報が伝わります。
例文:まずは計画の概略をお聞かせいただけますでしょうか。詳細は次回の打ち合わせで確認できればと思います。
最初は大まかな内容を把握したい、という段階を示す表現です。どちらも仕事のメールで使えます。
迷いやすいポイント
「概要」のほうが必ず詳しい?
必ずしもそうではありません。「概要」も「概略」も、詳しい説明を省いたあらましです。文字数や情報量に、決まった上下関係はありません。
「概要は500字、概略は100字」などの一般的な決まりもありません。職場や提出先に指定がある場合は、そのルールに合わせましょう。
「会社概要」を「会社概略」に言い換えてもいい?
会社のあらましを示す意味は伝わります。ただし、基本情報をまとめたページや資料の見出しには、一般になじみのある「会社概要」が使いやすい表現です。
類義語でも、すべての組み合わせを同じように置き換えられるわけではありません。既存の資料名や指定された項目名は、そのまま使いましょう。
「概略を説明する」は重複表現?
自然な表現です。「概略」は説明する内容が大まかであることを示し、「説明する」はそれを相手に伝える行為を示しています。「概要を説明する」も同じように使えます。
「要約」「あらすじ」との違い

| 言葉 | 意味・使い方の目安 | 使用例 |
|---|---|---|
| 概要 | 物事の全体のあらましを示す | 事業の概要を紹介する |
| 概略 | 細部を省き、大まかな内容を示す | 計画の概略を伝える |
| 要約 | 文章や話などの要点を短くまとめること。また、その内容 | 報告書を要約する |
| あらすじ | 物語や計画などの大まかな筋 | 小説のあらすじを紹介する |
「要約」は、もとの文章や話を短くまとめる行為にも使えます。一方、「概要」は、会社やイベントなど、文章以外の対象の基本情報をまとめる場合にも使います。
「あらすじ」は、小説や映画などの筋を紹介する場面になじみますが、物語専用の言葉ではなく、計画などの大まかな筋にも使えます。これらの言葉も意味が重なるため、対象や伝えたい内容に合わせて選びましょう。
まとめ
- 「概要」は、物事の全体のあらましを表します。
- 「概略」は、物事の大まかな内容や大筋を表します。
- 使い分けの目安は、全体像を示すことに重点を置くか、細部を省いて伝えることに重点を置くかです。
- 二つの意味は重なり、情報量・正確さ・確定度による明確な区別はありません。
迷ったときは、基本情報をまとめて紹介するなら「概要」、まずは大まかな内容を伝えるなら「概略」を目安にすると選びやすくなります。必要な情報が決まっている場面では、項目や分量も具体的に伝えましょう。
参考文献・出典
語義は以下の辞書を参照し、公的機関のページで「概要」の使用例を確認しました。場面ごとの使い分けは、語義を踏まえて本記事で整理したものです。例文・図解案は本記事のために独自に作成しています。
- 漢字ペディア「概要」
確認した内容:全体のあらましや、だいたいの内容を表し、「概略」と類義関係にあること。 - コトバンク「概要」(精選版 日本国語大辞典)
確認した内容:あらまし・おおよそを表し、「概略」と意味が重なること。 - コトバンク「概略」(精選版 日本国語大辞典)
確認した内容:物事のだいたいのところ、あらましを表し、「概要」と類義関係にあること。 - JICA「JICAの概要」
確認した内容:組織・事業の基本情報として、目的や主な業務内容などを示す使用例。二語の語義の違いを定義する資料としては使用していません。 - コトバンク「要約」(デジタル大辞泉)
確認した内容:文章や話などの要点を短くまとめること、また、まとめたものを表すこと。 - 漢字ペディア「粗筋」
確認した内容:物語や計画などの大まかな筋を表すこと。
閲覧日:2026年10月22日

